見えない“傷”を刻まれた夜 ―9mm Parabellum Bullet「Next Bullet Marks Tour 2014」@新木場STUDIO COAST ライヴレポ


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今年7月にバンド史上初となるベスト盤『Bullet Marks』をリリースし、全国ツアー「Next Bullet Marks Tour 2014」を回ってきた彼ら。去る12月10日はそのツアーにおけるワンマン公演の最終日であり、なおかつ6枚目のシングル『生命のワルツ』のリリース日であった。すっかり冬らしく冷え冷えとした季節に、寒さなんか関係ねえと言わんばかりの熱いライヴをかました彼ら。この日はバンドの演奏だけでなく、菅原卓郎(Vo/Gt)のMCにも心を強く惹かれるものがあった。

9mm Parabellum Bullet / BEST ALBUM「Greatest Hits」トレーラー

「9mm Parabellum Bulletです」と挨拶もそこそこに、いきなり彼らが1曲目に演奏したのは「Discommunication 」。記念すべき、彼らのメジャー・デビュー曲だ。発売されたのは2007年ともう7年も前だが、古臭さは微塵も感じさせない。ベスト盤を引っ提げてのツアーの幕開けには、これ以上ないほどに相応しい選曲だろう。
そのまま「Cold Edge」「Black Market Blues」「Answer And Answer」とシングル曲が立て続けに演奏された。こんなに序盤から飛ばしていて大丈夫なのだろうか?と心配になるほど、既にバンドもオーディエンスも最高潮の盛り上がりを見せていた。

「よく来たな!」と挨拶を挟み、次の3曲は「We are Innocent」「Heat-Island」「Termination」と比較的初期の楽曲が続く。「Heat-Island」と「Termination」はベスト盤のDISC.2に過去のライヴ音源が収録されているのだが、過去の演奏と今の演奏は驚くほどに違う。ベスト盤に収録されているライヴ音源もとてもカッコイイのだが、特に最近の9mmは見る度に進化を遂げている気がする。とにかく、迫力が段違いだ。バンドのサウンドや菅原の声も、数年前のライヴ音源より格段に厚みを増している。今の彼らには、自らのベスト・アクトを軽々と更新していく力があるのだ。ベスト盤の発売と今回のツアーは、彼らの進化を改めて実感する良い機会となった。

続いて、この日発売になったシングル『生命のワルツ』から「オマツリサワギニ」。タイトルに反してこの曲に騒々しさはなく、ギターの音色が物悲しさを誘う。個人的には、9mmのこういうしっとりとした曲が大好きだ。滝善充(Gt)の紡ぎ出すメロディは本当に綺麗だし、菅原の声はどこか憂いを帯びた色気を持っている。9mmの楽曲特有の美しさが際立つこの曲は、2月に行われた武道館公演「10th Anniversary Live『O』」で初めて演奏され、来場者にその日のライヴ音源がプレゼントされた。私も武道館に行ったのでその音源を何度も繰り返し聴いていたのだが、その時の演奏とは歌詞が変わっている。2パターンの歌詞をライヴで聴くことができ、なんだか得した気分だ。

少しちゃらけた感じで「滝くぅ~ん!」とメンバーの名前を叫ぶオーディエンスを菅原が「つまんねぇ!」と真顔で一喝し、「俺は普段からこういう顔だから怒ってるように見えるかもしれないけど、怒ってないぜ。今つまんねぇこと言った奴も、次は面白いことを言えるさ」と笑いを取った後、演奏されたのは「Wild West Mustang」。滝のエモーショナルなギターが炸裂するインストゥルメンタルの楽曲だ。歌詞は全くないのに、滝が全身でかき鳴らすギターは驚くほど饒舌。それにしても、よくもまあ、あんなに激しく動き回りながら演奏できるものだ。オーディエンスも、インストだからといって決して気を抜いたりしない。滝に負けじと全力で音に身を任せ、踊る。9mmは本当に演奏力の高いバンドだけれど、それを堪能できるのがインスト曲の醍醐味である。

「Wanderland」「Supernova」「ラストラウンド」と演奏した後、話し始める菅原。「ライヴに行くことを“参戦”っていうじゃないですか。あれをずっと不思議に思っていたんだけど、確かに音楽って戦いだなと最近思った」いう。かみじょうちひろのドラムや滝のギター、中村和彦のベース、そして菅原の声が武器だというわけではなく、と言って観客の笑いを誘ったうえで(ただし、そうは言っても「滝のギターが最新式のレーザー光線」は実に言い得て妙ではないだろうか)、「音楽は前向きなトラウマ」だと菅原は言った。私たちは音楽に見えない傷をつけられ、その理由を知りたくてライヴに足を運んだりバンドを組んだりするのだと。その理論で言うなら、たぶんこの日新木場に集ったオーディエンスは全員満身創痍だったのだろう。そしてきっとこの日新たな傷をつけられて、その傷を確かめたいからまた9mmのライヴに足を運ぶのだ。音楽好きなら誰でも一度は考えるであろう「どうして音楽はやめられないのか」という問いに対する菅原なりの答えを聞いて、自分が音楽を好きな理由が少し分かったような気がした。

「そんな話の後に聴くこの曲はどうだろうか」と演奏が始まったのは、「命ノゼンマイ」。「誰にも見せない場所に傷をつけてあげるよ」と歌うとおり、この曲もオーディエンスの心に新しい傷を刻んだに違いない。

ライヴアレンジがことさらにお洒落な「キャンドルの灯を」、そして「カモメ」とじっくり聴かせる曲が続き、ライヴはさらなるクライマックスを迎える。「行けるか!行けるか!」と、いつものように菅原がオーディエンスを煽る。オーディエンスも全力で雄叫びを上げ、拳を掲げてそれに応える。始まったのは「ハートに火をつけて」だ。リズムに合わせて両手を振る者、スカダンをする者など、思い思いに彼らの音に食らいつく。そのまま「The Revolutionary」「Talking Machine」と踊り狂った後、本編最後の曲はこの日発売されたシングルの表題曲「生命のワルツ」。CDで聴く以上に激しく、それでいて美しいサウンドには、既にすっかりキラーチューンとして定着しているようだ。凄まじい熱気と歓声に包まれ、本編ライヴは終了した。

9mm Parabellum Bullet – 生命のワルツ(short ver.)

「Dragon Ashのサクさん(桜井誠)に、『こんな変なバンドなのに大勢のお客さんがあんなに盛り上がるなんて、日本も凄い国になったね』と最上級の褒め言葉をもらったので、これからも日本を揺らし続けたいと思います!」という菅原の言葉で始まったアンコールは、インディーズの1stミニ・アルバムの1曲目「(teenage)Disaster」そして1stフル・アルバムの最後の楽曲「Punishment」。これまた9mmの歴史を感じる2曲で、宣言通りフロアを最後まで大いに揺らしまくった。

全ての曲を終え、それぞれに挨拶をしてステージを去っていくメンバー。特に、丁寧にお辞儀をする菅原のその顔は、ライヴを重ねるごとに一層不敵になっていくように思えてならない。「な、楽しかっただろ」とでも言いたげなその笑みに、私たちはまた傷を刻まれる。

彼らのライヴはまるで熟練の職人技だと思う。10周年を終えて、これから20年、30年とその技にはどんどん磨きがかかっていくに違いない。どんなに成長した彼らに「行けるか!」と煽られてもついていくことができるように、オーディエンスである私たちもまた日々を強く生きていかなければならないのだ。
(文=小島沙耶)

9mm Parabellum Bullet 「Next Bullet Marks Tour 2014」
2014年12月10日 新木場STUDIO COAST
セットリスト
1. Discommunication
2. Cold Edge
3. Black Market Blues
4. Answer And Answer
5. We are Innocent
6. Heat-Island
7. Termination
8. オマツリサワギニ
9. Wild West Mustang
10. Wanderland
11. Supernova
12. ラストラウンド
13. 命ノゼンマイ
14. キャンドルの灯を
15. カモメ
16. ハートに火をつけて
17. 新しい光
18. The Revolutionary
19. Talking Machine
20. 生命のワルツ

<アンコール>
21. (teenage)Disaster
22. Punishment

☆☆☆☆☆☆
12月10日発売の『生命のワルツ』のRUSH口コミポイントを発売週から1週ごとにチェックすると、4146ポイント、4123ポイント、3932ポイント、3789ポイント、3528ポイントで、13位、13位、13位、13位、16位と推移している。

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