りぶ「Rib-on“e”」 @なんばハッチ2015/02/26 ライヴレポ:「弱虫な勇者の他愛もないストーリー」は終わらない


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今年2月4日に、自身3枚目となるアルバム『singing Rib』をリリースした歌い手・りぶ。圧倒的な歌唱力と親しみやすい人柄で多くの支持を集めてきた彼が、アルバムのリリース・パーティーとして東名阪でワンマンライヴを行った。2月26日、大阪なんばHatchで行われた初の関西ワンマン公演は、とんでもない熱気と多幸感に溢れた空間であった。

不可侵領域デストロイヤー 歌ってみた【りぶ×大石昌良】

幕が上がり、いきなり始まったのは「不可侵領域デストロイヤー」!動画公開当初から大きな話題を呼んだ楽曲で、「みんな、犬の名前歌えますかー?」と、初っ端から大盛り上がりだ。2曲目は、前回のワンマンでは後半に演奏された「夜咄ディセイブ」。悲鳴のような歓声が上がり、会場は既にクライマックスかのような様相を呈す。

続く「プロパガンダ」では、前回のワンマン同様メガホンを持ったりぶが声明文を読み上げた。「強い刺激に脳までやられ」思考を停止したのか、それとも思考の末出した結論なのかはいざ知らず、オーディエンスは全員「暴力的な快楽の奴隷」となり果て、歌い、踊る。

それから「エンヴィキャットウォーク」「ダヴィンチの告白」と、出だしから本当に攻撃的なセットリストだ。「ダヴィンチの告白」の途中、「La La Liar…」というパートを観客に歌わせるが、女性客の多いりぶのライヴでは自然と元の曲よりもコーラスの声が高くなる。すると、続く「存在革命剥がれて」「風景を再生確認」ではりぶ自身も声をオクターブ上げて観客の声に合わせる。これには思わず鳥肌が立った。

「大阪ー!」この日最初の挨拶に、割れんばかりの大歓声が沸き起こる。大阪でライヴをするのは本人曰く「COFだかATAだか振り」だそうだ。うろ覚えのりぶに観客から「COF!」と声が飛ぶ。いつもの生放送を思わせる、アットホームな雰囲気だ。
それから、バックバンドの事務員G(Piano)によるご当地ネタMC。回転寿司、カラオケ…と、大阪発祥のものを紹介していく。しかし、「唐揚げってね、なんか名古屋とかのイメージありますけどね」というりぶのズレた発言に観客がざわざわ。

どうやら、カラオケと唐揚げを聞き間違えたらしい。楽屋に食べかけの唐揚げがあって、そのことで頭かがいっぱいだったようだ。唐揚げではなくてカラオケの話だと察するや否や、「歌なんかどうでもいいよ!食べ物の話しようよ!」と、歌い手らしからぬ発言で笑いを誘った。

『singing Rib』のジャケットを思わせるようなフォーマルな衣装に着替え、歌われたのは「朝焼けの狙撃手」「エンゼルフィッシュ」。大人の魅力漂う、お洒落な2曲だ。そして「名古屋ではやらなかった曲も今日はやります」と始まったのは、生放送などでは度々リクエストに応えて歌っている「夕立のりぼん」。切なげに歌い上げるりぶの声に、会場からは思わずため息が漏れる。

MCを挟んで次の曲は、バンドメンバーが一度退場し、事務員のピアノのみをバックに歌われた「心做し」。今にも泣きそうな声で歌うりぶ。吐息混じりに「やめてよ、やめてよ 優しくしないでよ」と歌う掠れた声に、観客は物音ひとつ立てずに聴き入っていた。曲によって全く違う表情を見せるのがりぶの歌の特徴だが、この日の「心做し」ではその真骨頂を見た気がした。
しっとりと歌い上げた後にバンドメンバーが再登場し、グッズ紹介コーナーが始まった。しかしその間も、りぶは何だかそわそわしている。どうやら、衣装に違和感があったらしい。シャツをパンツに入れたスタイルが落ち着かないようだ。

「一回出してみようか?どっちが良い?」とシャツを出して観客に問うも、満場一致の「入れるー!」の声が返ってくる。「俺がまごついてるとこ見たいだけでしょ」なんてぼやきながら、りぶは一度衣装を直しに舞台袖へ。

この日が誕生日だというベースのmaoを祝っている間に、りぶが戻ってきた。「(シャツが出るので)あまり動けなくなりました」と言いつつも、ステージ上をあちこち動き回りながら歌ったのは「ワンルーム・オール・ザット・ジャズ」。衣装を着こなせず(?)おろおろしていたのと同一人物とは思えぬ色気だ。そして「プラスティックレィディ」「キミの心拍数」とアルバムから2曲。「プラスティックレィディ」で一斉に左右に振られるサイリウムを「綺麗!」と見つめるりぶの表情がとても幸せそうだった。

「後半も、もっともっと盛り上がって行きましょう!」と、既に熱しまくりのなんばハッチをりぶがさらに煽り、「上手のほーお!」「下手のほーお!」と、Rib-on“e”では既にお馴染みとなったコール&レスポンスが行われる。ポーズ付きで交わされた「Sayたこやき!」「Say通天閣!」といった大阪ならではのコールには苦笑も漏れていたが、ものすごい盛り上がりっぷりだ。そのまま、ロック・チューン「人生は吠える」に突入。「吠えろー!」の声に合わせてなんばハッチが咆哮を上げ、揺れる。

「まだまだ声が足りないぞー!とかって言ってコール&レスポンスに入るのが定番なんだろうけど、大阪本当に元気だからどうやって入ろうと思った(笑)」と、大阪公演を大いに楽しんでいる様子のりぶ。

「どうですか」と話を振られた事務員が自らの思いを話す。「りぶくんは本当に1曲1曲と向き合ってる」、そしてそういうところがみんなに愛されるのだろうと話す事務員に、「僕は本当に幸せものです。ね。羨ましいでしょ」とりぶは笑った。その笑顔を目にしたオーディエンスの嬉しそうな表情を見て、りぶの歌に対する真摯な姿勢と想いは確かに伝わっていると確信した。

最後の2曲は、「サリシノハラ」そして「アカイト」。「それでも君が好きだよ」と、歌詞を思わせるナレーションに続けて歌われた曲の最後、「決して切らせはしない 赤糸」という歌詞に合わせ、りぶと観客が互いに小指を差し伸べる。見えない赤い糸で繋がっているかのようなその光景はとても美しくて、ずっと目に焼き付けておきたいと思わずにはいられなかった。

アカイト 歌ってみた【りぶ】

アンコールに応え、再び感謝の気持ちを口にした後、りぶのギター弾き語りから始まったのは「singing」。りぶが初めて作詞作曲を手掛けた曲だ。歌うことが好きで動画を投稿しはじめ、ずっと歌い続けてきたりぶの、素直な想いが詰まった歌だと思う。「弱虫な勇者の 他愛もないストーリーを照らすのは ただ 歌うことだけ」。壮大なバンドサウンドとりぶの真っ直ぐな声に、観客から自然と手拍子が起こる。

「本当にありがとう。手拍子もね、ありがとうね。自分が作った曲で手拍子してくれるっていうのは、何かこう…スッとなりますね」と背筋を伸ばし、微笑むりぶ。「よし、本当に最後の曲です。みんなで一緒に歌ってください!」と始まったのは「聖愴爆裂ボーイ」だ。途中「何ミリ?」なんて観客に歌わせたりして、ステージ上では[TEST]と三代ギター魂が縦横無尽に駆け回りながらギターを掻き鳴らしたりして。間奏ではりぶの「最後だぞー!踊れー!」という声に煽られ、最後まで大騒ぎで大阪公演は幕を閉じた。

「singing」を歌う前、りぶは「僕なんかそんな価値あるのかなって思ってしまうんだけど…ありがとうはこっちの方なんです、本当に。でも今日は、みなさんが本当に優しいんだなと思うことにします」と語った。だけど、1人のファンとしてこれだけは言っておきたい。

「僕なんか」ではないのだ、決して。わたしは、あなたの歌が大好きなのだ。お互いの、そしてたくさんのありがとうを乗せて、「弱虫な勇者」・りぶの物語はこれからも続いていく。

(文=小島沙耶)

【クロスフェード】singing Rib / りぶ【2月4日発売】

りぶ 「Rib-on“e”」 @なんばHatch 2015/02/26 セットリスト
1. 不可侵領域デストロイヤー
2. 夜咄ディセイブ
3. プロパガンダ
4. エンヴィキャットウォーク
5. ダヴィンチの告白
6. 朝焼けの狙撃手
7. エンゼルフィッシュ
8. 夕立のりぼん
9. 心做し
10. ワンルーム・オール・ザット・ジャズ
11. プラスティックレィディ
12. キミの心拍数
13. 人生は吠える
14. サリシノハラ
15. アカイト

EN1. singing
EN2. 聖槍爆裂ボーイ

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