ボカロ、漫画、小説…マルチメディアで話題の「サリシノハラ」


サリ

ニコニコ動画から始まったボーカロイド文化だが、現在は小説、マンガ、アニメなど様々なメディアに展開されている楽曲が数多く存在する。特に今や、「小説化」はボカロ曲の人気度を測るバロメーターの一つであると言えるのかもしれない。

大人気ボカロP・みきとPによる楽曲「サリシノハラ」も、小説化されたボカロ曲の一つだ。みきとPが歌い手のりぶに書き下ろした「サリシノハラ」「ヨンジュウナナ」「アカイト」の3曲は、アイドルの少女と一般人の少年の恋を描いた3部作。某アイドルグループとそのメンバーを思わせるタイトルにはじめは賛否両論が巻き起こったが、切ない楽曲と動画が大きな話題を呼んだ。

2014年1月には、動画制作を担当したCHRISによる漫画『サリシノハラ』が、そして2015年3月14日には嶽本野ばらによる小説『サリシノハラ/47』が発売されたばかり。今回は、ボーカロイドに留まらない人気を誇る「サリシノハラ」シリーズを紹介しよう。

まずは、3つの曲をお聴きください。
今回、「サリシノハラ」は初音ミクの歌唱によるものを、「ヨンジュウナナ」「アカイト」はりぶの歌唱による動画を紹介する。3曲とも、両者によるバージョンがYouTube・ニコニコ動画に上がっているので、それぞれの雰囲気の違いを聴き比べて楽しんでいただきたい。

「サリシノハラ」

「ヨンジュウナナ」 歌ってみた【りぶ】

「アカイト」 歌ってみた【りぶ】

「サリシノハラ」「アカイト」では少年の視点で、「ヨンジュウナナ」では少女の視点で物語が進んでいく。曲自体だけでなく、CHRISの手がけた動画も話題をさらった。動画に登場する少女を「サリ子」、少年を「サリ男」と呼び、2人の物語をあれこれ想像する視聴者も少なくなかったようだ。

「ヨンジュウナナ」の最後に少女は「例えどんな未来が ふたりを 切り裂いても/(大丈夫)」と歌い、「アカイト」の最後では少年が「もう大丈夫 例えどんな未来が待っていても/決して切らせはしない 赤糸」と歌う。「サリシノハラ」は穏やかな曲だが、「ヨンジュウナナ」「アカイト」と徐々に曲調が力強くなっていくのも印象的だ。アイドルと普通の少年の恋はきっと障害だらけの筈だが、それでも2人の想いがどんどん強くなっていく様子を思わせる。

オリジナル版は初音ミクが淡々と歌っており、視聴者が自分で様々な物語を想像することができる。しかし、りぶによる「歌ってみた」版はまた違った魅力を持つように思う。特に「ヨンジュウナナ」のラスト、「君が 君が 今でも好きだよ」と歌う切ない声は、聴いているこちらまで胸が締めつけられる。

■漫画『サリシノハラ』
動画に登場する「サリ子」がアイドルになる前の物語を描いた作品が、漫画『サリシノハラ』だ。
音楽好きな少女と少年の、偶然の出会い。幸せな出会いかと思いきや、2人は運命に翻弄されていく。
CHRISの描く少女は、とても可愛らしい。しかし、自分が好きになった少年を守りたいという思いを持っていたり、強い表情も見せる。彼女が見せる表情の1つ1つがとても愛らしく、見守らずにはいられなくなる。数奇な運命に振り回された2人の想いが通じ合う場面には、思わず涙してしまった。

また、今作ではりぶ、ETAメンバーなど、みきとPとCHRISに縁のある人物らがカメオ出演を果たしている。探してみるのも一興だ。

■小説『サリシノハラ/47』
アイドルグループ「47」のセンター・砂吏の初恋と葛藤を描いた物語。作者は、『下妻物語』などで知られる嶽本野ばらだ。
アイドルとしてデビューし、トップを目指しながらも、幼い頃に出会った少年・篠原くんを忘れられない砂吏。グループ内での人間関係や、芸能界で生き残っていくための葛藤の中、スキャンダルに巻き込まれ…それでも逞しく生きていく砂吏の姿は、今まで数多くの少女を描いてきた嶽本野ばらからこそ描けるものだと思う。

そして、そんな砂吏を遠くから見守るファン・「歯ぐき君」。もちろん、アイドルに恋愛は御法度だ。だから歯ぐき君は、決して「ファン」の領域を超えようとはしない。その様子があまりにも健気で、せめて二人の【これから】が幸せなものであるようにと願わずにはいられない。

3つのメディアで展開される「サリシノハラ」。
楽曲だけでは想像もつかなかった部分を漫画と小説が描き出すことで、楽曲の持つ世界がどんどん広がっていくというのは、今までの音楽にはあまり無かった形だ。
3月27日には、漫画版『サリシノハラ』の続編、『サリシノハラ ―Dear―』も発売となる。2人の物語から、ますます目が離せない。

(文=小島 沙耶)

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