【ユニゾン武道館】何気ない、そして特別な一日


original

UNISON SQUARE GARDENが7月24日、日本武道館でのワンマンライヴを行った。

「結成11年目の記念日」「バンド初となる武道館でのワンマン公演」というあまりにも特別な日であったにも関わらず、ユニゾンはこの日を「何気ない記念日」だと言い張った。そしてこの日の武道館公演は、間違いなく彼らの”通常営業”であり、”何気ない記念日を、何気ない歌でお祝いしよう”というコンセプトに相応しいものだった。

いつもと同じSEとともに、3人がステージに姿を現す。最初に演奏されたのは「誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと」。CDに収録される前からライヴでは何度も演奏されていた、大切な曲だ。1曲目にはもってこいの選曲に、いきなり会場内のボルテージが跳ね上がる。

ここから中盤の「天国と地獄」まで、ライヴはほとんどノンストップ。途中で斎藤宏介(Vo./Gt.)が「今日は長いよー!自由に楽しんで」と一言だけ挟んだが、それ以外はMCもなし。時には小洒落たセッションで繋ぎながら、次から次へと曲を繰り出していく。「リニアブルーを聴きながら」や「シュガーソングとビターステップ」といったシングル曲や、ライヴでは久しぶりに耳にした「MR.アンディ」「サンポサキマイライフ」など新旧織り交ぜたセットリストに、オーディエンスからは何度も何度も歓声が上がった。

前半で最も大きな盛り上がりを見せたのは、「天国と地獄」。驚かされたのは、イントロに合わせてステージ前方から炎が吹き出すという演出だ。ここまで、照明による演出だけで10何曲を演奏してきていたので、ここでいきなりの特殊効果にはシビレた。天井に向けて燃え上がる炎と共に、オーディエンスもさらに高揚する。誰が強制するわけでもなく、各々が音楽に合わせて身体を揺らしたり、踊ったり。ユニゾンがずっと大事にし続けてきた”自由”が、武道館でもちゃんと具現化されていた。

UNISON SQUARE GARDEN「天国と地獄」

ここで、この日初となるMC。この日の公演は11周年目の初日ということだったが、斎藤の「10周年最後の1日」つまり武道館公演の前日はというと…なんと、引っ越しをしていたらしい。そのため、斎藤にとってこの日の武道館は「新居からの初めてのおでかけ」。そんな衝撃的な告白にどよめき、拍手を送りつつ、次の曲。先日発売となったばかりのベスト・アルバム『DUGOUT ACCIDENT』から、「プログラムcontinued」だ。

ユニゾンが結成されてからの、4000日間の物語。そんな重みを持った曲を、小話みたいなMCからさらっと続けて演奏する様子が、ユニゾンらしいなと思う。この曲では、「くだらなくて 蹴っ飛ばしていいけど、君に言ってるんだ。」というフレーズに、胸を打たれた。ユニゾンはいつだって、1対1の「君」へとメッセージを届けようとする。「依然 continued」と歌う斎藤の声はとても力強くて、これからも彼らの根底は決して変わらないのだということを改めて実感した。

何曲かバラードを演奏した後、「今日は特別な日なので、他のメンバーにも喋ってもらおうかな」と斎藤。鈴木貴雄(Dr.)は武道館への交通手段をタクシーにしようかハイヤーにしようか迷った話(結局タクシーで来たらしい)、田淵智也(Ba.)はおみくじを引いたら7月は「言葉に注意」と出たという話をする。短時間のMCからも分かるように、ユニゾンの3人はとにかく個性がバラバラだ。でも、だからこそ、各々がカッコイイと思ったものを持ち寄れる場所がユニゾンというバンドなのだという。

それぞれの個性とバンドの絆を窺えたMCに続けて、「シュプレヒコール~世界が終わる前に~」。前半の静かな部分では、会場中が呼吸を忘れたかのように聴き入る。続く「桜のあと~all quartets lead to the?~」では打って変わって、オーディエンスが楽しげに声を出したり腕を上げたり。その後は「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」「シャンデリア・ワルツ」と、系統の違うキラー・チューンが2曲続く。つくづく、様々な曲を持っているバンドだ。だけどそのどれもが楽しくて、自然に身体が動くし口ずさみたくなってしまう。

UNISON SQUARE GARDEN「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」ショートver.

「シャンデリア・ワルツ」から、鈴木のドラム・ソロに突入した。超高速のフレーズを叩き終え、脱力したようにドラムの上に突っ伏す姿に「タカオー!」と声援が飛ぶ。再びドラムを叩き始める鈴木…と、なんとそのドラムセットが徐々にせり上がっているではないか!これにはびっくりした。どんどん高く上がっていく鈴木と、それを見上げるオーディエンス。予想もつかない展開に呆気にとられ、目が離せない一時となった。

ドラム・ソロが終わると、今度はステージの下から田淵・斎藤がせり上がってくる。3人が再びステージ上に揃って演奏を始めたのは「場違いハミングバード」「ガリレオのショーケース」。これまた、お馴染みのライヴ・ナンバーだ。そして本編最後は「センチメンタルピリオド」。

真っ白な光が3人を包み込んだかと思うと、客席の全ての照明が点灯され、武道館全体が明るくなる。3人だけで始まったUNISON SQUARE GARDENが、今はこんなにも多くの人に愛されるバンドになった。その過程を表すかのような演出と、「不格好で不器用でも構わねぇ、それもいいだろう」という、ずっと変わらぬまっすぐな姿勢。自然と、観ているこちらの心が熱くなる。光に満ちた武道館にぴったりの輝きを放つ演奏に、幸せな気持ちで本編の幕が下りた。

盛大なアンコールに答え、まずステージ上に戻ってきたのは田淵。実は、田淵には5年前から武道館で言うつもりで用意していた言葉があったという。しかしこの日、彼はそれを口にしなかった。かわりに、こんな言葉を発した。

「君の好きな音楽はこの10年間、世の中に愛されるような曲ではなかった。これからもそういうものを書きたいとは思わないし、書こうとも思わない。だから、人にすすめてくれたりするのは嬉しいが、だいたいの確率でろくなことにならない。これは僕が保証します。だけど、君の好きなロックバンドは最高にかっこいいと自信を持っていいです。これも僕が保証します」

この言葉の後に演奏されたのが、3枚目のアルバム『Populus Populus』冒頭の2曲、そして最後に「フルカラープログラム」。キラッキラで美しくて、ユニゾンにとってもファンにとっても非常に大切な1曲。「フルカラープログラム」の終盤で一度、武道館の照明がすっと落とされる。ただ一人スポットライトに照らされた斎藤は自らの口元からマイクを外し、アカペラでその歌声を響かせた。「涙キラキラ西の空に光る」から始まるそのメロディは、今までも何度もユニゾンのライヴで耳にしている、おなじみのもの。だけど、この日ほどその旋律が美しく響いたことはなかった。

全ての演奏が終わり、最後に1人だけステージに残った斎藤。「僕らにとって大事な皆さんの、大事なバンドでありたいです。またツアーで会いましょう!」そう話し、ステージを後にした。彼らが我々にとっての「大事なバンド」でありたいと思い続けてくれる限り、きっと我々の中でユニゾンはそうあり続ける。この日限りで終わりではない、この先に向けての強い想いを示して、「fun time 724」は終わりを迎えた。

田淵が飲み込んだ言葉は、何だったんだろう。ユニゾンの名を多くの人に知らしめたあの曲を演奏しなかったのは、どういう意図だったんだろう。ユニゾンの初めての武道館公演は、いくらかの余白を残したように思う。その余白を埋めるのは、きっとこれからのユニゾンの楽曲であり、ライヴなのだろう。だから、これからも自信を持ってユニゾンを愛し続けよう。ファンにとっても、そんな思いを新たにする「記念日」となった。

UNISON SQUARE GARDEN「fun time 724」セットリスト
1. 誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと
2. リニアブルーを聴きながら
3. MR.アンディ
4. ため息 shooting the MOON
5. マスターボリューム
6. サンポサキマイライフ
7. ワールドワイド・スーパーガール
8. like coffeeのおまじない
9. スカースデイル
10. シュガーソングとビターステップ
11. 23:25
12. 天国と地獄
13. プログラムcontinued
14. 光のどけき春の日に
15. クローバー
16. harmonized finale
17. シュプレヒコール~世界が終わる前に~
18. 桜のあと(all quartets lead to the?)
19. 徹頭徹尾夜な夜なドライブ
20. シャンデリア・ワルツ
21. 場違いハミングバード
22. ガリレオのショーケース
23. センチメンタルピリオド

E1. 3 minutes replay
E2. kid, I like quartet
E3. フルカラープログラム


※RUSHランキングとは、ネット上の口コミ数が楽曲をランキングした新しい音楽ランキングです!
リアルな人気がわかるRUSH ランキングアプリ
↓ダウンロードはこちら
スクリーンショット 2015-04-02 16.43.00