ミュージックビデオから徹底検証! 「人生50年、アイドル5年」チームしゃちほこの目的は一体なんだ?!


チームしゃちほこ
デビュー当初のライブ映えするアグレッシブな楽曲から一転、脱力したシングル「首都移転計画」を発表してファンの出鼻をくじいたり、気合を入れてリリースされたファーストアルバムに名古屋名物「ひつまぶし」と見せかけて『ひまつぶし』とタイトルを付けてしまったり、のらりくらりと活動を続け、いつの間にか武道館公演を成功させてしまったチームしゃちほこ。

 スローガン「名古屋から世界へ」を掲げるものの、どうも掴み所のない彼女たちの目的は一体何なのか。チームしゃちほこのMVを楽しく観賞しながら考えてみよう。

・首都移転計画

 いきなり「首都は東京がいいと思います」と言っちゃったり、「人間50年、アイドル5年」というドキッとするフレーズが入り込んだりとネタには事欠かないが、それにひとつひとつツッコミを入れていたらこのMVの本質を見落としてしまう。このMVは、「チームしゃちほこによるテレビ局ジャック」である。

 テレビ局のセットを模した舞台で踊っていたメンバーはテレビモニターの中から外へと縦横無尽に動き回り、「ワールドカップはもちろん WBCもオリンピックも ここでやるんだぜ」とさらっと言ってしまう。ネットワークを経由してコンピューターウイルスが伝染していくかのように、テレビ画面を通じてチームしゃちほこがじわりじわりと日本中に広がっていくのである。

・愛の地球祭

 細かいツッコミ所がどうしても気になる「首都移転計画」に対して、「愛の地球祭」MVは冒頭からいきなり「あまちゃん」のパロディーというウルトラC級の大ボケをかましてくる。左上の「8:14」やエンドカードの「終 制作・著作:しゃち」など、なんとも芸が細かい。ちなみに、「知らんかったがね」の「がね」というのは名古屋弁の大きな特徴らしい。「愛の地球祭」MVは、それ以外にも「今日の料理」、「みんなの体操」、「おかあさんといっしょ」のパロディーで固められた、本気の「NHKごっこ」だ。

 そして最初はただのパロディーだったMVが、いつの間にかチームしゃちほこが増殖し、画面を埋め尽くしていることに気付く。「首都移転計画」に引き続く「チームしゃちほこによるNHKジャック」である。公共放送を乗っ取り、ローカルから全国へ、チームしゃちほこを送り出していくのだ。
 愛知万博(愛・地球博)のキャラクター、「モリゾー」と「キッコロ」のコスプレについてはツッコミを入れる必要もない。

・いいくらし

 多くのミュージシャンや音楽ライターも注目した「いいくらし」は、MVで行われていたパロディーやオマージュが楽曲の中で行われている。中でも、日本が比較的裕福だった時代に歌われた「俺ら東京さ行くだ」と、音楽が最もが売れていた時代の「EZ DO DANCE」に合わせ、「悪くはねぇ ダメではねぇ」、「EZじゃない ときどき 泣きたくなるし」と歌う場面が印象的だ。この2曲は社会と音楽における「豊かさ」の象徴なのだろう。「どうやらそこそこ裕福らしい」「それでも大変」の間で揺れるのが、「いいくらし」である。

 しかし、このMVで描かれる「豊かさ」のイメージは、日本人に身近なものではなく、「アラブの石油王」のような「遠い世界の大富豪」のイメージに近い。チームしゃちほこは、いまひとつしっくりこない裕福さの中で、全くリアリティーのない、空想の「いいくらし」を想像してしまうのだ。しかし、彼女たちの理想にリアリティーが無いからといって全く問題はない。絵空事の理想を大きな声で語ることは、アイドルの少女たちにのみ与えられた特権だったじゃないか。

 そして最後には、「首都移転計画」MVの冒頭へと繋がる。「いいくらし」を夢想して、チームしゃちほこは「首都移転計画」を画策することになる……。

 チームしゃちほこの楽曲やMVで一貫しているのは、「日本人だったら誰でも知っている物を、自分たち(名古屋)の中に取り込んでしまおう!」、というものだ。それは「首都移転計画」というよりも、「首都名古屋化計画」や「日本・チームしゃちほこ化計画」に近い。

 そう、のらりくらりとした彼女たちのスタンスに騙されてはいけない。チームしゃちほこは首都どころか、日本のジャックを狙っているのだ!

 これから先、彼女たちはどこまで日本をジャックしてしまうのか。首都・東京はいつの間にか名古屋色に染まってしまうのだろうか。そのキーワードはもちろん、「つけてみそみそ」。
(文=伊藤 駿)


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