アナタもつくれる!?大人気ボカロ曲のコード進行を解説してみる


mikumiku-full-title

インターネット上を中心に、かなりの人気を得ているボーカロイドの楽曲。可愛らしいキャラクターや詩的な歌詞など、人気の理由はたくさんありますが、「どうもこの曲が耳に残るな…」と思った場合、その曲のコード進行に秘密が隠されていることが多くあります。

コードとは、ざっくり言うと「曲の伴奏」のこと。ドミソとか、レファラとか、いくつかの音が同時に鳴ると和音になりますよね。その和音のことを、「C」とか「D」とか名前をつけて呼ぶのがコードです。1つの曲は、そのコードがいくつもいくつも連なって出来ています。その進み方を「コード進行」といいます。

コード進行は、曲の雰囲気を決定づける重要な要素の一つです。ここでは、何度も繰り返されるコード進行にやみつきになってしまうボカロ曲を紹介しつつ分析します。アルファベットで表記したコードの名前は、初めて見る人にとっては暗号のように思えますよね。でも、「コード進行?何それ?」という人でも曲を聴けば、なんとなく「あ、同じような音が繰り返されているな」と分かるはずです。

その1■『みくみくにしてあげる♪【してやんよ】』(ika)

初音ミクが、ソフトを買ったばかりのご主人様に自らのインストールを促す、大人気の楽曲。D – E – C#m – F#mという4つのコードが繰り返し使われています。唯一違うコード進行が使われているのは、〈あのね、早くパソコンに入れてよ どうしたの?パッケージずっと見つめてる〉と、ミクがプロデューサーを見つめる歌詞のパートのみ。

それ以外の部分は、ひたすらD – E – C#m – F#mの繰り返しです。〈みっくみくにしてあげる〉という印象的なフレーズとともに、非常に強く耳に残ります。何度も何度も再生したくなってしまうのは、わかりやすく繰り返されて脳裏に焼き付くコード進行にも〈みっくみくに〉されているからかもしれませんね。

その2■『千本桜』(黒うさ)

テレビCMのBGMとして起用されたり、ミュージカル化されるなど、圧倒的な人気を誇る「千本桜」にも、この繰り返しが使われています。まずはイントロ。

実は、この曲のイントロにはたった3つのコードしか使われていません。Bb – C – Dm、という3つがひたすら繰り返されているだけ。その上に、「タンタンタカタカ」という印象的なフレーズが乗っているだけの、非常に単純な構造です。そして、サビに使われているのはDm – Bb – C – Fという4つのコードの繰り返し。最後のサビだけは転調しているため全体の音が上がっていますが、基本は同じ構造です。

これだけ同じコード進行が続くと、つまらない曲になってしまいそうですが、「千本桜」では最後の転調がとても効果的に使われています。コードの構造もメロディも同じなのに、音が上がるだけで雰囲気がふっと華やかになっていますよね。

その3■『モザイクロール』(DECO*27)

Am – C – G – F、という4つのコードが繰り返し使われています。ベース音を聴くと分かりやすいと思います。この曲で違うコード進行が出てくるのは、サビに入る前の〈「それでも好き…」とか(笑)〉以降。縛られていたコード進行から解放されるかのように、〈愛したっていいじゃないか〉と思いを歌い上げます。サビで繰り返されるのは、Gm – Eb – F – Bbというコード進行。サビ前までと比べると、使われている音も力強さを増しています。

ボーカロイドはその特性上、人間が歌う時のように、感情の高まりに合わせて声を張り上げることができません。もちろん声色を調整することはできますが、それでも人間の声に比べると、声だけの感情表現はほとんどできないと言ってもいいでしょう。その分、曲調に様々な工夫が凝らされます。この曲では、最初からずっと続いていたコード進行を抜け出すことで〈愛したっていいじゃないか〉〈これも運命じゃないか〉と感情の爆発を表現しているのではないかと思います。

以上、ボカロで人気の曲のコード進行には繰り返しという特徴がある、という分析をしてみました。

(文=小島 沙耶)


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です