乃木坂46は紅白歌合戦で青空を見る事が出来るのか


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2014年も早いもので後2カ月弱。大晦日に放送となる『NHK紅白歌合戦』の公式アナウンスもされ、インターネット上では早くも出演アーティストの予想が始まっている。

中でも注目すべきは出演内定とされる乃木坂46。
2011年8月にAKB48のライバルグループとしてデビューし3年が経ち、今や明治神宮球場を埋める程の名実共に国民的アイドルに成長した乃木坂46だが、決して平坦ではなかったこの3年間。そこで何があり、AKB48とは違う「乃木坂らしさ」とは何なのかをここで語っていきたい。

■「AKB48のライバル」と「乃木坂らしさ」のジレンマ

「AKB48のライバルグループ」として始まった乃木坂46は、果たしてAKBとは何が違うのか。誰もが抱くその疑問を払拭したのが2013年3月にリリースした5枚目のシングル『君の名は希望』だった。ピアノの美しい旋律から始まるイントロ、大サビに向けての展開、何より透明人間が君という希望に出会うその歌詞に多くの人が共感し、2013年のアイドルポップス史上最高の名曲という声も多い。と、同時に「乃木坂らしさ」というイメージを形作る事に成功した曲とも言える。

そもそもアイドルシーンが2013年時点で飽和状態にあり、アーバンギャルドな色物アイドルが増える一方で、その真逆とも言える清楚、クリアなイメージの乃木坂46を世間が求めたとも考えられる。というのも『君の名は希望』がリリースされた4ヶ月後に日本テレビにて『NOGIBINGO!』が始まる。

(現在は『NOGIBINGO!3』が放送中)この番組のコンセプトが「AKB48が『AKBINGO!』でやってきたことと全く同じことを乃木坂46がやったら、国民的アイドルグループになることができるのか」を検証するというもので、これが非常に下品な内容であった。

そのコンセプトにもネット上では反感の声が挙がっていたし、何よりその下品極まりない内容にメンバー自身達からも反感の声が挙がっていた。この時点で「乃木坂らしさ」は確立していたのだなと思っている。(『NOGIBINGO!2』からは方向性も一新して素晴らしい番組になっています)

■『16人のプリンシパル』という乃木坂らしさ

乃木坂46を説明する上で欠かす事の出来ないのが『16人のプリンシパル』だ。2012年にPARCO劇場にて『16人のプリンシパル』、2013、2014年に赤坂ACTシアターにて『16人のプリンシパル deux』、『16人のプリンシパル trois』が開催されているミュージカル公演なのだが、簡潔に言ってしまえば投票数で役が決まるシステム。1年目の『16人のプリンシパル』は、1幕での自己PRを受けて観客が投票し、その上位16名が2幕の舞台に出演出来るというシステム故に、実質の人気投票状態になってしまい、生田、白石、高山といった一部のメンバーが連日上位に立つ結果になった。

2年目の『16人のプリンシパル deux』からはシステムを改め、役の立候補制を導入した。そうする事で普段ステージで活躍する選抜メンバー以外のアンダーメンバーが主役を勝ち取ったり、アンダーメンバーが選抜メンバーを打ち負かすといった下剋上もしばしば見受けられる様になり、メンバー個人としての魅力がより引き出される要因にもなった。

全10役を制覇した西野七瀬、若月佑美、好成績を残した生田絵梨花、白石麻衣、橋本奈々未、この公演後に舞台『帝一の國』の出演が決定した井上小百合、樋口日奈といった様々なメンバーが結果を残す。

3年目の『16人のプリンシパル trois』は前回とシステム上大きな違いはないが「コントを演じることによる笑いのセンス」というオーディションテーマが設定され、新たに2期生とSKE48からの交換留学である松井玲奈が参加した。お笑いという大きなテーマ上、ウケなければならないという大前提に苦しみ、モノマネに走るメンバーもいれば、独特な笑いの間を掴み見事役を勝ち取るメンバーもいた。

全10役を制覇した白石麻衣、生田絵梨花、若月佑美、井上小百合、深川麻衣、怪我の為途中参加となったが好成績を残した橋本奈々未、結果を受けて舞台が決まった生田絵梨花、衛藤美彩、桜井玲香。中でも舞台『虹のプレリュード』の主演を務めた生田絵梨花の演技は各所で絶賛された。

決まった劇場を持たない乃木坂46が自分の個性を解き放つ場所が『16人のプリンシパル』であり、ただの人気投票ではない人間力が試されるこの『16人のプリンシパル』が既に乃木坂らしさなのである。

■メディア露出の仕方

メディア露出において乃木坂46がAKB48グループと大きく違う点がある。それは乃木坂46合同会社とAKSという事務所の違いだ(松井玲奈はAKS)。ご存じである様にAKB48グループは雑誌等でグラビアとして水着になるが、乃木坂46はならない(過去にドラマで橋本奈々未が水着になっていたり、生駒里奈がAKB48兼任で水着になっていたり例外もあります)。これは前述の『NOGIBINGO!』と繋がる話で乃木坂46合同会社が乃木坂らしさを守っていると言える。

結成当初からテレビ東京で放送している『乃木坂って、どこ?』の功績も大きく、芸人バナナマンの愛情溢れるMCによって毎週メンバー個人の魅力が引き出されている。結成当初からグループに密着した番組レギュラーを持っているというのは極めて幸せな事であり、ここからも事務所の姿勢が見て取れるだろう。

■変動するセンターと『何度目の青空か?』生田絵梨花センター

前述で記述した『君の名は希望』までの全シングルセンターは生駒里奈が務めたが、次の『ガールズルール』からはセンターが変動している。『ガールズルール』のセンターは白石麻衣が務めた。5枚目の『君の名は希望』までで生駒里奈としての乃木坂らしさは確立出来たからだと私は考えている。

何事にも流れは必要で、変わる事も必要な事だ。『君の名は希望』の累計売上枚数が31万枚であったのに対し、『ガールズルール』は45万枚と大きく跳ねた。ライブ会場もZeppから代々木第一体育館(昼、夜2公演)と格段に大きくなり、乃木坂46のターニングポイントと言える作品となった。

その代々木第一体育館公演で発表されたのが次シングル『バレッタ』の新センター、堀未央奈であった。当時2期生であり研究生であった堀未央奈がセンターになる事は異例中の異例な事で会場は騒然となった。堀未央奈は出てくるなり泣いていたが、センターを務めた生駒里奈、白石麻衣のエールを受け、覚悟を決めた顔をしていたのを覚えている。堀未央奈は加入当初から文章をしっかりと書け、その佇まいもいい意味で異色を放っていた。そこが評価された抜擢だったのだと考える。

続く『気づいたら片想い』、『夏のFree&Easy』は確実に人気を上げていた西野七瀬が2連続センターを務める。累計売り上げは50万枚にも達し、これはAKB48の売り上げには届かないまでも、支店であるSKE48、NMB48、HKT48を超す売り上げである。『夏のFree&Easy』からはAKB48へ生駒里奈が、SKE48から松井玲奈が交換留学生として兼任する事が発表された。

ネット上は否定的な声がほとんどであり、メンバー内でもブログに否定的な意見を書くメンバーもいた。生駒里奈がAKB48の選抜総選挙に参加し、結果14位となり選抜入りとなった。混乱する中咄嗟に出てきた言葉が「わたしのこと知ってますか?」というのは生駒里奈が乃木坂46はまだまだであり、乃木坂46を少しでも向上させたいという思いが詰まっていると感じる。対して5位であった松井玲奈は「全ての事に自分の人生をかけて活動している」とスピーチをする。

ここから松井玲奈がテレビ番組、ライブ、握手会に参加し始める。総選挙5位はやはり伊達ではなく、その人気は凄まじかった。SKE48ファンが会場に散見する様になり、あれだけ「乃木坂終わった」と言っていたファンも段々と何も言わなくなる。可愛いは正義なのだ。

松井玲奈とAKB48から戻って来る生駒里奈には共通しているところがあった。それは乃木坂46とのパフォーマンス性の違いである。全国アリーナツアーの大阪、名古屋に松井玲奈は参加したが、松井玲奈だけがビショビショに汗をかいていた。それだけ運動量が違うという事である。AKB48から戻って来る生駒里奈にも「最近の生駒はダンスのキレが違う」ともっぱらの評判になる。

汗をかかない乃木坂46を評価する声もあるが、これは乃木坂らしさとはまた別で、パフォーマンス性は松井玲奈、生駒里奈からもっと盗まないといけない部分は多々ある。劇場を持たない乃木坂46だが、露出が選抜メンバーより遥かに少ないアンダー・研究生メンバーが『アンダーライブ』として集中的にライブを行っている。伊藤万理華を始めとしたメンバーの顎から滴り落ちる汗は、練習の成果、気合の入れ方を表しているし、観に行っていた選抜メンバーの秋元真夏も下剋上に焦る程の層の厚さが乃木坂46にはある。

乃木坂46のある種の集大成の一つとなったのが、今夏行われた全国アリーナツアーの千秋楽、明治神宮球場公演であった。過去最高のキャパシティ3万人を動員し、明治神宮野球場にてアーティストの単独ライブが行われることは、THE ALFEE以来14年ぶりの快挙であった。ここで披露されたのが前作、学業の為活動を休止していた生田絵梨花がセンターである『何度目の青空か?』であった。
イントロが会場に流れ、後光が射す中での生田絵梨花の登場は多くの感動を生んだ。

乃木坂46がこの10枚目である『何度目の青空か?』にかけている要因は幾つかある。まず、原点回帰とも言える初期の乃木坂、5枚目『君の名は希望』を彷彿とさせる曲調であること。初期メンバーとして1番の清楚であり、お嬢様であり、絶対的な切り札であった生田絵梨花をここで起用すること。

前述で記述した『ガールズルール』から『夏のFree&Easy』の期間を否定する訳では一切ないが、様々に変動して来たセンターはこの『何度目の青空か?』での帰って来た乃木坂46への布石でもあった様にも思える。

明治神宮野球場公演を見事果たし、東京ドーム、生駒里奈が選抜総選挙で景色を見た味の素スタジアムと、まだまだ目標とする会場は多い。そして、目標とするもう一つの場所が『NHK紅白歌合戦』なのだ。去年の大晦日、乃木坂46は紅白歌合戦に出演出来なかった訳だが、他の歌番組には出演していた。紅白歌合戦からはしごして来る出演アーティストに対して、羨ましくもあり、悔しくもあったとメンバーは語っている。

過去NHK番組にも多数出演し、12月には生田絵梨花が主演の1人である映画『超能力研究部の3人』も公開される。紅白歌合戦への準備は万端だ。乃木坂46が紅白歌合戦でどんな青空を眺めるのか。そして、その先にはどんな景色があるのか。大晦日の放送と併せて確認して欲しい。
(文=渡辺彰浩)


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