バンプ、髭…新曲は書店にて!「本×CD」に見るCDの新たな価値基準


BUMP OF CHICKEN(以下バンプ)と髭が新曲のリリースを発表した。驚くべきは、双方ともにその新譜が書籍の付録であるという事だ。内容は互いに違えども、ほぼ時を同じくして同じ形態でのリリースを発表した彼等。CDを「本“と”売る事」は果たして何をもたらすのか。

―■BUMP OF CHICKEN×『3月のライオン』、満を持しての相思相愛コラボ。
news_xlarge_lion02

news_xlarge_lion01

「ファイター」と命名されたバンプの新曲。こちらのCDは、11月28日に刊行される羽海野チカの漫画『3月のライオン』10巻に封入される。羽海野、バンプ双方が互いの作品のファンである事から生まれた相思相愛のコラボレーションだ。バンプと言えば、先日NHKで放送された「BUMP OF CHICKEN クリエイターたちとの創造・ドキュメント LIVE in東京ドーム」にて、様々なクリエイターたちと協演する姿が印象的だった。そのバンプが今度は人気漫画とタッグを組んだ。

そして、その販売形態も“相思相愛”の物となった。『3月のライオン』へのCD封入に加え、「ファイター」は同日、配信限定シングルとしてもリリースされる。こちらには特典として羽海野がこの企画のために描きおろした「3月のライオン」のスピンオフ作品が読める電子書籍のシリアルコードが付属する。

―■アーティストブック『素敵な闇』は“名刺代わり”な一冊。

GRHiGE_TWI-217x300
デビュー10周年を記念して去る10月3日に初のアーティストブック『素敵な闇』を発売した髭。こちらには「なんて素敵でいびつ」(新曲)「闇をひとつまみ」(新曲)「セメタリー」(未発表曲)の3曲を収めたCDが封入される。この新曲については同書にて、佐藤“コテイスイ”康一によるライナーノーツや、須藤のロングインタビューで徹底解説されている。まさに「聴けて読める」一冊だ。

同書は他にも、メンバーが当時のエピソードを交えて語るディスコグラフィーの紹介、バンドと親交の深い人々による10周年を祝うメッセージなどを掲載している。10年に渡るバンドのクロニクルでありながらも、「髭入門書」としても、秀逸だ。何故なら「どんな人達」で「どんな音楽」なのか、が『素敵な闇』を読み、同封のCDを聴くことで全て明らかになるからだ。文章が音楽を語り、音楽が文章を裏付ける。そういった意味ではこちらも「相思相愛」の関係だろう。

―■なぜ、CDという“モノ”を付けたか。
 

バンプにしても、髭にしても書籍と音楽をコラボしたいだけなら『3月のライオン』のスピンオフの様に配信コードを記載するだけでいい。だが、両者ともにCDという“モノ”を付録として付ける道を選んだ。何故だろうか。

まず母体が、紙の本という非常にアナログな媒体であるということ。本は、消費されるメディアではなく、収集されるメディア。雑誌となるとその発行頻度から、ある程度の周期で捨てられる事もあるだろうが、今回取り上げた2冊に関しては、恐らくかなりの長期間読者の本棚へ定住する事だろう。

これを音楽に置き換えた時、「本」にあたる存在は「CD」になる。CDもまた、収集されるメディアだ。音楽は、CDから配信、更にはダウンロードさえしないストリーミングメディア、と「所有」の概念からはどんどんかけ離れた方向へ発展している。配信やストリーミングよりも単価も高いCD。それを所有することは「贅沢」になりつつあるのだ。

「収集」や「所有」が贅沢ならば。CDもまた「贅沢品」として生き残る他ない。現代においてその方法で細々と命を繋いでいるアナログ盤の様に。そう考えるとやはり、その本を「特別な一冊」として打ち出す場合には、音楽はCDの姿をしている必要があった。「本×CD」。ありそうでなかったこのコラボは、今後のCDの在り方を占う様だ。

(文=イシハラマイ)