確かに事件は起きていた。—UNISON SQUARE GARDEN@横浜Bay hall


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—これを事件と呼ばずしてなんと呼ぼう

去る8月27日5th Album『Catcher In The Spy』を発売した3ピースバンド、UNISON SQUARE GARDEN(以下ユニゾン)。現在はアルバムを引っ提げ、全国ツアーTOUR 2014「Catcher In The
Spy」の真っただ中だ。10月19日に行われた横浜Bay hall公演を観た。

—■徹頭徹尾、通常運転。

ユニゾンと言えば、アニメのタイアップやバンドのコンポーザーである田淵智也(Ba.)による他アーティストへの楽曲提供など、メディアの垣根を越え縦横無尽に活躍する姿がしばしば報じられる。だがしかし、そんな彼等のライヴスタンスは驚く程にシンプルだ。良い音楽を届ける。それに尽きる。それも本当に「届ける」だけ。彼等は、ステージに対しての見返りを一切求めない。コールアンドレスポンスも、手拍子も要求しない。ステージから手を差し伸べる事もしない。田淵の言葉を借りるなら「ステージで君を待ってる。待ってるけど勝手に振り回して帰る」(公式ブログ『小生田淵がよく喋る』2014年8月27日より)と言ったところだ。

兎にも角にもユニゾンは「不自由」を嫌う。そして自らのライヴを「自由」で満たす事に関しては、余念がない。この度のツアーに関しても、会場をライヴハウスとホールという2本柱でツアーを組んでいる。スタンディングで盛り上がるのも良し、指定席に座るも良し、それぞれが「自由」に、自分のスタイルに合った方法で音楽と向かい合い楽しめる様にする為の計らいだ。また、約2か月半で26本というタイトなスケジューリングも、なるべく家から近い街で「気楽に」ライヴが観られるように、という配慮のうえだ。

彼等はこのスタンスを「通常運転」と呼ぶ。いつ来ても、どこに来ても、等しく楽しめるステージを提供する。初めて彼らの「通常運転」という言葉を聞き、その真意を知った時の印象は今も鮮明だ。ああ、なんて頑固で自信家なバンドなのだろうか、と。バンドというのは複数の人間が集まって形成される集団。正直ライヴの出来の善し悪しはあるのが当たり前。だがしかしUNISON SQUARE GARDEN というバンドは自らその当然の逃げ道を封じてしまったのだ。その状態でライヴを行い、きっちり魅了する。だから、彼らのこの頑固とも呼べるスタンスに皆敬意を払い、いつしかユニゾンのもうひとつの代名詞として定着したのだろう。

—■そして、事件は起きた。

事件が起こるには、さして時間がかからなかった。ツアー中の為、セットリストの詳細は言及しないが、始まりの1曲を聴いただけで、彼らに起こった異変に気付いた。やたらと、人間くさい音がしている。演奏や歌に熱気が満ちて、湿度が高く、時々堪えきれずに弾けさえする。先に述べた通り、ユニゾンの基本スタンスは「通常運転」。だから、彼らは感情の起伏を表立って演奏に出すことはしない。常に100点を死守する。それがユニゾンのライヴだ。99点も論外なら、200点もまた、望ましくないものだったのだろう。だから、時には溢れんばかりの熱を押し込める様に、気迫に込めて、音の冷静さを保つ。そんな彼らのステージを観たこともあった。

だが、今回のユニゾンはその熱に素直に従った。田淵はまあ、いつも通りにタコ踊りをしながらも狂いなく、ベースを奏で、鈴木貴雄(Dr)のドラムも表情豊かに冴えていた。圧巻のドラムソロではご機嫌にくるりとドラムスティックを回してみせる。そして何より。斎藤宏介(Vo./Gt)の歌が、様変わりしていた。最初に気付いた異変が、斎藤の歌だった。いつもはその気の強さとストイックさを映し出した様に、キレている印象だが、この日は違った。とても伸びやかで、熱くなれば語尾が少し乱れたり、と実に人間らしい面を見せた。ライヴ中盤、珍しく饒舌な斎藤が、答えあわせをするかの様に、こんな事を言った。「今、肩の力が抜けていて、とても楽しい」と。もう、この言葉に尽きた。「自由」を愛して
きたユニゾン。
ここに来て漸く自らも、正真正銘の「自由」を手に入れた様だ。

—■『Catcher In The Spy 』が暴く、素顔のUNISON SQUARE GARDEN。

『Catcher In The Spy 』というアルバムが彼らにもたらしたものは余りにも大きい。このアルバムが、この先何十年の彼らの未来を繋いでゆく事になるだろう。

前作『CIDER ROAD』はユニゾンが「敢えて」の姿勢で挑んだJ-POPへの挑戦状であった。しかしその挑戦は失敗に終わった、というか挑戦状として受け取られなかった、とでも言うべきか。兎にも角にも、彼等の意図とは少し違った作用をしてしまったらしい。それを受けて、「敢えて」を徹底的に排除して作られたのが『Catcher In The Spy 』なのだろう。

そこには、驚く程に「素」のユニゾンが詰まっていた。「意図」で作るのではなく、「意思」のみで作られた作品が持つ力の強さと言ったら。MCで斎藤は同作について「自分たちが作りたいものを作れた」と語った。ゆえに、「肩の力が抜けている」のだと。『Catcher In The Spy 』には彼等が「自由」である為の12曲が詰まっているのだ。

—■さあ、目撃せよ。“完全無欠のロックンロール”!

UNISON SQUARE GARDEN はひとつ、壁をぶち壊した感があった。化けた。私には全く新しいものに見えた。そしてやはり、彼らはバンドとしての華がある。2008年の『流星前夜』に収録されている「フルカラープログラム」に〈完全無欠のロックンロール〉という歌詞がある。まるで、今の彼等を占う様な歌詞だ。

尚、ツアーはこの横浜でおおよそ前半が終了。来る12月12日(金)に、新木場StudioCoastでの追加公演も発表された。この件に関しても、田淵は色々と思うところがある様だ。それについては、こちらへの記述は控えよう。是非、直接彼自信の言葉を目にして頂きたい。

獰猛にて、愉快。シニカルにて、快活。
無敵のロックンロール、その快進撃は止まらない。
(文=イシハラマイ)