11月3日に開催されたアイドルグループ私立恵比寿中学の学芸会「おもちゃビッグガレージin横浜アリーナ」
31歳の私がひょんなことから私立恵比寿中学、通称エビ中のライブに足を運びました。
あっ、彼女達のライブは、「学芸会」と呼ぶそうです。
31歳の男が初めて行くアイドルのライブ。
右も左も分からない状況で、何が起きたのか。
その一部始終を綴ります。
(※セットリストは一番下にあります)
■推しメンを決めるのが流儀
振り返れば、10代の頃、周りはモーニング娘。やSPEEDに熱狂する中、私は、硬派を気取り、アイドルの音楽を遮断。
ホントは、「ASAYAN」や「夜もヒッパレ!」を毎週欠かさず見て(知らない人はググろう)、彼女たちをデビューから応援しているのに、知らんぷり。
クラスメイトから「3組の○○って可愛いよな」って聞かれると、ホントは、すげーかわいいと思っているのに「まあ、マシなほうだよね」という中学生男子にありがちな謎のツンデレを爆発させていた。
人間は変われる。
さて、アイドルは推しメンというお気に入りのメンバーを決めなくてはいけないらしい。
エビ中のメンバーはほとんど知らない私だが、唯一知っている子がいる。
ぁぃぁぃだ。
彼女は、タモリ倶楽部の鉄道企画に何度か出演しているので知っていた。
「郷に入れば郷に従え」
私は、今回の学芸会をきっかけに推しメンはぁぃぁぃにしようと決めた。
■サイリウムと初めての遭遇
アイドルライブの必須アイテムといえば、光り輝くサイリウム
TVで見て、その存在は知っていたが、やはりアイドルのライブには必須だろうと思っていたのだが、うっかり買い忘れていた。
しかし、世の中にはいい人がいるものである。
会場近くで、明らかにアイドル好きではない風体のおじさんが、様々な色に光り輝く伝説のサイリウムを売っているではないか。
サイリウムを持たずにアイドルのライブに行くなんて、ロトの剣を持たずに竜王に挑むようなものである。
迷わず「購入」を選択したものの、色がたくさんある。
どれがいいのか全くわからない。
グズグズしているとライブが始まるので、一番近くにあったグリーンを選んだ。
この選択が、このあと、私に予想もしなかった悲劇を呼ぶことに、この時は気づいていなかったのだ。
■会場で飛び交う謎の怒号
右手にサイリウム、左手に勇気を握りしめ、会場でスタンバイ。
若い子がお客さんが多いのかと思いきや、周りには私のようないい大人もチラホラ。
みな優しそうな笑顔でサイリウムを握りしめている。
アイドルファンはきっと優しい人が多いのだろうと、同士の存在に、心が緩んでいると、会場からチャイムが流れ、ライブがスタート。
すると、先ほどまでニコニコしていた同士たちが、戦に出陣する武士のようないきり立った表情に。
そして、サイリウムを持つ拳を天高く突き上げながら、「うりゃほい」だか「うりゃおい」だか、言葉にならない謎のメッセージを大声で吠えている。
「こっ、これは、一体!?」
困惑する私をよそに、同志たちのテンションは最高潮。
勇気を出して私も言ってみた。
「うっ、うりゃ、ほい(照)」
なっ、なんだか楽しい。
もう少し大きな声で、もう一度。
「うりゃ!ほい! うりゃ!ほい!(テンションMAX)」
想像を絶する気持ちよさ。
なるほど、これがアイドルのライブか。
滑り出しは上々だ。
■緑のサイリウムの悲劇
ライブの中盤。
メンバーのソロ曲のコーナーがスタート。
最初の子が歌いだすと、会場のサイリウムの色がすべてピンク色に。
推察するに、どうやらその子のイメージカラーがピンクなので、みんなサイリウムの色を変えたらしい。
「おい!おい!俺のサイリウムは緑だぞ!」
どうやら、高価なサイリウムは、スイッチ1つで、色を自由に変えられるらしい。
ただ、私が購入したサイリウムは、緑一色。
麻雀なら役満だが、ここはエビ中のライブ会場。
同じエビスでも、緑一色は蛭子さんしか喜ばない。
2人目の子が黄色、3人目の子が赤。
阪神ファンのど真ん中で、巨人のメガホンを振っているような気分で、サイリウムを突き上げる。
「もうダメだ。アウェイ感に耐えられない」
スト㈼ばりに、頭の上をひよこがピヨピヨ回っている状態の時、4人目の子が登場。ぁぃぁぃだ。
すると、会場中のサイリウムが緑になった。
「きっ、奇跡だ・・」
奇跡的に、本日、私から一方的に推しメン認定されたぁぃぁぃのイメージカラーが緑だったのだ。
私のアウェイ感も解消され、今日一番のサイリウムを振ることができた。
この瞬間、ぁぃぁぃが女神に見えたことは言うまでもない。
■ライブが終わった帰り道
こうして、私の人生初のアイドルのライブは終わった。
およそ3時間のライブで、彼女達はほぼ休まず全力のパフォーマンス。
31歳、バリバリの運動不足の私は、1時間も過ぎたところで、千代の富士ばりの「体力の限界!」が出た。
体力が切れ、朦朧とする意識の中、アンコールの最後の曲が「頑張ってる途中」という歌だった。
彼女達はまだまだ夢の途中、頑張ってる途中というテーマの歌詞をメンバーが歌い上げる。
社会に出て10年近く経ち、これからの人生について考え始めた31歳の私もまだまだ「頑張ってる途中」だと、勇気づけられた。
いい年をした大人が、10代の女の子のパフォーマンスにお金を払って足を運ぶのは、勇気をもらえるからだったのだ。
エビ中の学芸会を終えたファンで賑わう、駅前のラーメン屋でそんなことを1人思うのであった。
《セットリスト》
01. ハイタテキ!
02. えびぞりダイアモンド!!
03. オーマイゴースト?〜わたしが悪霊になっても〜
04. Go!Go! Here We Go! ロック・リー
05. I can’t stop the loneliness(※初披露)
06. 梅
07. 未確認中学生X
08. バタフライエフェクト
09. キミに39 / 星名美怜
10. ぐらりぐら想い / 小林歌穂(※初披露)
11. Fantastic Baby Love / 柏木ひなた
12. ぁぃぁぃといく日本全国鉄道の旅 / 廣田あいか(※初披露)
13. 踊るガリ勉中学生
14. スターダストライト
15. アンコールの恋
16. 誘惑したいや
7. I’m your MANAGER!!!
18. ebiture〜ラブリースマイリーベイビー
19. Lon de Don
20. 涙は似合わない(※初披露)
21. 仮契約のシンデレラ
22. フレ!フレ!サイリウム
23. 幸せの貼り紙はいつも背中に
<アンコール>
24. 大漁恵比寿節(※初披露)
25. ザ・ティッシュ〜とまらない青春〜
26. 放課後ゲタ箱ロッケンロールMX
27. 頑張ってる途中
(文・構成 タケサン)